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お店を変えてまで、羊の牧場を作りたい!!
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まずは自己紹介
- 私たちは2021年12月より、成田市公津の杜で『羊と鹿とときどき猪』という生ラムジンギスカンとジビエ焼肉のお店を運営しております。株式会社ひととして代表取締役・佐藤達也(右)、取締役・佐藤奈三江(左)と申します。
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イタリアンからジンギスカンへ
- 今のお店の前は、2007年から15年ほどイタリアンレストラン『ポルチェリーノ』というお店を同じ場所で運営しておりました。自家栽培の有機野菜をふんだんに使い、全て手作りのお料理とパン、デザート、ソムリエセレクトのイタリアワインをご提供させていただいておりました。
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- レストランではトリュフやフォアグラなどの高級食材、季節の魚介、上質な肉やジビエ、旬のフルーツなど様々な食材を取り扱ってきました。野菜においては今も変わらずですが、農場長である父が自家農園で有機野菜を生産したものを使用しており、バーニャカウダが人気商品でした。
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羊の牧場を作ろう!
- 様々な食材とふれあいながら、仕込みや準備をしてお客様をお迎えする、そんな毎日が続いていたある日のことです。
「羊の牧場を作ろう!」というシェフの一言に、「は?」と答える私。※筆者は奈三江です。 -
- 最初はかなり戸惑いましたが、日々熱く羊について語るシェフの話を聞き続けるうちに、なぜか私は羊の牧場を作ることはこれからの未来に必要なことなんだと信じ込んでしまいました。
- それからしばらくは、どうしたら羊の牧場を作れるか?という話し合いを進めながら、レストランを営業し続けていました。長い話し合いで悩みに悩みぬいた末、イタリアンを辞めて店の業態を変えるという決断をしたのです。将来牧場ができたとき、その肉を提供する場所が必要だということと、今のままでは一歩も前に進まないと感じたからです。まだ牧場もできていないのに、とんでもないことを思いつき行動したものです。
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- でも実際には今までポルチェリーノにご来店くださっていたお客様への申し訳ない気持ち、本当に今までやってきたことを辞めて大丈夫なのかという不安、牧場なんて本当にできるのかという不安など、ネガティヴな思いが大半を占めていた時期もありました。
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牧場プロジェクトのきっかけ「山形のカリスマ緬羊家との出会い」
- シェフが羊の牧場を作りたいと心に決めたのは、山形にある『ひつじや』の西塚洋平さんとの出会いがかなり影響しています。
西塚さんは自社生産の羊肉を自社飲食店でジンギスカンとして提供しています。 -
- 西塚さんが作る羊は、今まで私たちが食べてきた羊の味を覆すものでした。その衝撃は一人の料理人が、15年守ってきた店を畳んでまで、羊の牧場を作り自分で羊を育てたいという思いになってしまうほどのものでした。
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- 西塚さんの羊はホゲットやマトンのサイズになってから生肉にしますので、輸入ラムとは別物の味わいです。※羊肉は月齢により呼び方が変わります。
山形の人里離れた場所にお店があるのですが、東京からはもちろん海外からもその美味しさを求めてお客様が訪れています。 -
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- 自社生産だからできる様々な部位の提供や肉質のコントロールなど、原材料を自分で生産することに興味を持つことは料理人として自然なことだったのかもしれません。
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新しい仲間との出会い「成田ロータリークラブ」
- 今までの私たちはお店の中で仕込みや準備をし、営業するという日々の繰り返しでしたので全く外に出ておらず人脈作りなど何もしてきていなかったことに気付きました。
牧場を作りたいわりには協力者も少なく、このままでは難しいと思っていた時に『成田ロータリークラブ』という奉仕団体の会員にならないかというお誘いをいただきました。聞いたことはあったものの、私共とは違う世界の方々のクラブだと思っておりました。でもこんな私共でも仲間に入れてくれるとのこと、勇気を出して入会しました。
「イタリアンからジンギスカンにお店を変え、羊の牧場を作りたいと思っています。」という自己紹介にはてな?だったことと思います。それでも皆様、親切にお付き合いをしてくださり心から感謝しています。 -
新しい仲間との出会い~成田に羊がいた!~
- 「羊の牧場を作りたい!」と言い続けていると、不思議と羊ネットワークが広がっていきました。
空港の近くにある『自給農園ミルパ』さんに羊が2頭いるとのことでさっそく訪ねてみました。 -
- そこで羊100頭計画なるものを企てている、石井恒司さんに出会いました。2頭の羊は多古町にある岩渕牧場さんから譲っていただいたとのこと。
- 恒さんに案内していただき、岩渕牧場さんを訪問しました。岩渕牧場さんは牛専門の牧場ですがオーナーの趣味で羊を飼っているそうです。40頭くらいはいるでしょうか。可愛い子羊も走り回っていました。千葉県でも羊は元気に育つことがわかり、俄然やる気が出ました!
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なぜ、今羊なのか?
- 現在日本国内で食肉として飼育され出荷されている羊は約1万5千頭です。グラフのように消費量のほとんどを輸入に頼っており、オーストラリアとニュージーランドで98%を占めています。その他の国で2%、国内産羊肉はほんのわずか1%以下しかいないのです!
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- 前述しましたが羊肉は月齢により呼び名が変わり、ラム(生後半年から1年)、ホゲット(1年から2年)、マトン(2年以上)となります。ラムは1頭で約20kg、マトンで約40kg、肉にすると約10kg~20kgとなります。
ということは、国産羊は1万5千頭ですから年間約20万kgしか生産できない希少な食材と言えます。
また、輸入食材の価格高騰(飼料、人件費、輸入燃料など)の影響で輸入羊肉は昨年の30%の価格上昇を受け、国産羊が注目を集め現在では国産羊肉を入手するのは困難となっています。
その景況で国産羊肉の価格は現在1kg当たり約1万円となり、ブランド和牛を上回っているのです。 -
成田市三里塚、宮内庁下総御料牧場の歴史
- 御料牧場は明治8年に官営によって創設された下総牧羊場と取香種畜場が起源です。 明治18年に両施設が合併と同時に宮内庁の管轄となり「宮内庁下総御料牧場」となりました。
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- その経営のおおもとは 牧畜と農耕で、牧畜事業では馬・牛・綿羊・豚・鶏などの飼育とバター・ハム・チーズなどの 畜産加工品の生産をし、また農耕事業では牧草や野菜・穀類の栽培と植林などを行っていました。
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- 宮内庁の施設なので天皇陛下をはじめとする皇族の行幸啓や在京外交団の招待なども頻繁に行われ、その際にはジンギスカンがふるまわれていました。
現在の三里塚商和会の皆様や成田国際空港株式会社・地域共生部の皆様などもジンギスカンの文化を復活させたいと、様々なイベントや活動に力を注いでいます。 -
プロジェクトのアドバイザー『羊と日本人 』著者 山本佳典さん
- 「広島から三里塚に移住し、羊を研究している方がいるんだよ」と紹介されたのがこの本の作者の山本佳典(けいすけ)さんです。
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- 『羊と日本人』山本佳典著
日本近代史においては、戦争や貿易摩擦、不景気や震災のなかで牧羊(緬羊:めんよう)が何度も国策とされたがそのつど挫折を繰り返してきました。戦後は御料牧場を始めとした農地解放と産業の変化等、その歴史は波乱に満ちていました。
そこには、不屈の挑戦を続けた多くの技術官僚や民間人がおり、信念を持ってたゆまぬ努力を続けた羊をめぐる人々の生き様―忘れられた日本の緬羊史を、在野の若手研究者が独自の視点でとらえ、執念とも言える膨大で緻密な調査と関係者への聞き取りで浮かび上がらせた、渾身のノンフィクション作品です。 - 山本さんとは今でも羊の発展についてお話をさせていただいております。羊が増えることを心から願っている方のひとりです。
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羊の可能性
- 羊の可能性について考えてみました。
①成田市は農業放棄地、空港騒音地区などの問題を抱えていますから、そういった土地を利用し羊の飼育の展開が可能となります。また、継ぎ手のいない農家の土地を借り上げて羊の飼料となる牧草や穀物の生産を行い、農地の有効活用。売り手確定型の農業により作業の効率化、雇用の拡大が見込めます。
②福祉と羊を掛け合わせることで、社会で生きづらい方々に心地よく働いていただける環境を整え「できることをできる人が」羊たちのようにやさしい仲間を増やしてくことを目指します。
③命の大切さや家畜である羊の一生を通して学べる施設を造り、市内外の小中学校の社会科見学や一般の方々にも食の大切さをお伝えすることができます。
④成田国際空港があるにもかかわらず、通過されてしまいがちな成田に羊を利用した新たな観光産業『羊ツーリズム』を産み出し、観光客の成田滞在を可能にします。
羊(×企業×福祉×行政×観光×農業×個人・・・)可能性は無限大!
でも成田には羊の牧場がないんです。 -
羊の牧場を作るための課題
- 夢や希望と確固たる覚悟を持って行動した私たちでしたが、何もないところからのスタートです。
①羊の牧場を作る場所はどこにするのか?
②育った羊を屠畜して生肉にする屠畜場はあるのか?
③国産羊はただでさえ量が少ないのに母羊をどこから購入するのか?
④羊の輸送はどうするのか?
⑤このプロジェクト皆様に知っていただくにはどうすればよいのか?
細かなこともいろいろとありますがまずはこの問題を解決しなくては始まりません。 -
現時点での活動状況
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➀羊の牧場の場所について CLEAR!
- 私たちが成田商工会議所に入会した後、その副会頭でもある株式会社ナリコーの加瀬社長が当店にご来店されました。羊の牧場を作りたくて店を変えた話をしましたら、羊について大変深くご興味を持ってくださいました。その後も色々なお話をさせいていただき、成田市十余三にある土地(ナリコー様所有地)を羊の牧場として貸していただけることになりました。
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②羊の屠畜場について CLEAR!
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- 前述した岩渕牧場さんのお力添えにより、横芝光町営東陽食肉センターにて、事前予約にて対応してくださることになりました。本当にありがたいことです。
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③母羊の購入について CLEAR!
- 国内の羊の牧場は小規模経営が多い中、北海道でかなり大きく羊の牧場をされているペコラファームの山下社長との縁をいただきました!早速士別へ行き、牧場を見学させたいただきました。
ちょうど出産の季節で、産まれたての子羊にも会えました。 -
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- 札幌のすすきのにもお店を出店されていますので、札幌でもペコラファームの羊を味わうことができます。
その後、交渉の末こちらの牧場から、母羊を購入できることが決まりました!
と、あっさりと書きましたが、ここまでの道のりは長く2021年にお店を変えてから3年半が経とうとしています。 -
残りの課題を解決するため、クラウドファウンディングに挑戦!
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④輸送費の問題
- 未だ残る大きな課題の一つが「羊の輸送」です。
北海道から成田へ羊を無事に運ぶためにが多額の輸送費がかかります。牧場の開設まであと少し…そのために必要な輸送費の一部をクラウドファンディングにてご協力いただけないかと考えています。 -
⑤プロジェクトの告知の問題
- また、そもそもこのプロジェクトを多くの方に知っていただけていないという課題もあります。
今回のクラウドファンディングを通して、たくさんの方にこのプロジェクトを知っていただき、その経過を皆様に報告し続けられるホームページを作成したいと考えております。
そこで、このプロジェクトにご賛同いただけるスポンサー企業様を募集します。ゆくゆくは成田での羊産業に関わっても良いなという企業様、単に応援してくださる企業様などなど。もちろん個人名での応援も大歓迎です!
ホームページにスポンサー企業様として社名(ロゴなど含)を掲載し、ご希望がありましたらリンクの貼り付けも可能です。また、『羊プロジェクト応援企業』として逆にリンクを貼らせていただけると大変ありがたいです。個人様はお名前の掲載、SNSリンク等の貼り付けをさせていただきます。
応援いただいた皆様と一緒に創り上げるプロジェクトにできればと思っています。
ちょっと先にはなってしまいますが、羊が無事に繁殖した際には成田産羊の美味しいジンギスカンを味わってほしいと考えています。 -
さいごに
- 僕が成田に羊の牧場を作ろうと思ったのは10年以上前のことです。
15年続けたイタリアンを畳み、ジンギスカンのお店に変えたあと、少しずつ協力してくださる方を集め、問題をひとつひとつクリアしながら、やっとあと一歩のところまでたどり着きました。
たくさんの方々と出会い、たくさんの考えや意見を聞いているうちに、食肉としてだけではない羊の可能性を強く感じました。地域の方々が羊という動物を通して様々な形で繋がり、その無限の輪が続いてゆく。そのきっかけとなるような牧場を作ります!
牧場は2025年12月頃にオープン予定です。
是非!皆さまのご支援をよろしくお願いいたします。
株式会社ひととして 代表取締役 佐藤達也 -